三大香木のひとつである、上品な甘くて強い香りが魅力のジンチョウゲ。
ジンチョウゲの香りが漂うと、春の訪れを感じます。
三大香木とは、香りの強い花をつける3つの樹木のことで、春は「沈丁花(ジンチョウゲ)」、夏は「梔子(クチナシ)」、秋は「金木犀(キンモクセイ)」です。冬の「蝋梅(ロウバイ)」を加えて、四大香木とも呼ばれています。
ジンチョウゲの香りは、三大香木のなかで最も遠くまで届くそうで、まるで千里のかなたまで届くかのようであることから、「千里花(センリバナ)」や「千里香(センリコウ)」とも呼ばれています。
ジンチョウゲの育て方のポイントは3つです。
「基本的に植え替え・移植をしない」「強剪定をしない」「水はけを良くする」
ジンチョウゲは、とてもデリケートな花木ですが、3つのポイントをおさえて育てることによって、魅力的な香りを長く楽しむことができます。
ジンチョウゲの基本情報
引用元:みんなの趣味の園芸
園芸分類 庭木・花木 形態 低木 原産地 中国南部から雲南省、ヒマラヤ地域 草丈/樹高 1m 開花期 2月下旬~4月中旬 花色 白(外側は紅紫) 栽培難易度(1~5) 2 耐寒性 普通 耐暑性 普通
ジンチョウゲの栽培環境
日当たり・置き場所
ジンチョウゲは、西日が当たらない風通しの良い半日陰で育てるようにします。
日当たりを好みますが、土深く根が伸びないため、株元に直射日光が当たると弱ってしまいます。真夏の強い西日が当たる場所は避るようにします。
半日陰で育てますが、日当たりが足りないと花が咲かなくなるので注意が必要です。
用土
ジンチョウゲの用土は、水はけに優れていることが重要です。
水はけが良ければ、あまり土を選ばないので、市販の草花用培養土でも育てることができます。
土を作る場合は、赤玉土(小~中粒)7:腐葉土3の割合で配合し、水はけをよくするために川砂やパーライトを混ぜると良いです。
㈱花ごころさんの培養土を使用しています。
◆花も野菜も上手にできる「特選有機花ごころ培養土」
通気性・排水性に優れていて、なおかつ保水力も良好です。効き目が穏やかで肥効効果の長い肥料が配合されているので、元肥を混ぜる手間なく、すぐに使用することができます。天然有機のフカフカな土がとても扱いやすいです。
水やり
ジンチョウゲの根は土深く張らず、また水を吸収する細根が伸びにくいので、乾燥が苦手です。
鉢植えの場合は、土が乾いてから、朝の時間帯に鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水やりをします。乾いた状態と水がたっぷりある状態のメリハリをつけることが大切です。
庭植えの場合は、自然に降る雨だけで大丈夫です。ただし、晴天が続いて土が乾燥したときは、たっぷりと水やりをします。
肥料
ジンチョウゲの肥料は、春・秋・冬の年に3回施します。
春:花が咲き終わった4月~5月、新芽の成長を促すために、緩効性化成肥料を与えます。
秋:株が成長する9月に、株を充実させるために、緩効性化成肥料を与えます。
冬:土壌改良を兼ねて1月~2月に、寒肥として有機肥料を与えます。
寒肥とは?
引用元:サカタのタネ
かんごえ、かんぴと読みます。冬の間、主に休眠している庭木や果樹に与える肥料です。春に元気な新芽を出させるための栄養補給のような役割をします。根を傷めないように冬の間に肥料を熟成させて、成長が始まる春に根に吸収させたいので、ゆっくりと効いて植え替えをしない樹木の土壌改良にもなる有機質肥料がおすすめです。
ジンチョウゲの育て方
植えつけ・植え替え
ジンチョウゲの植え付けの適期は、新芽が伸び始める前の3月下旬から4月、または9月下旬から10月です。
ジンチョウゲの根は土深く張らず、また水を吸収する細根が伸びにくく、とてもデリケートです。植え替えや移植は行わないようにします。
庭植えの場合は、植え替えの必要がないように十分なスペースを確保し、西日の当たらない半日陰に植えつけます。
鉢植えの場合は、株が育って「鉢底から根が出ている」「水が土にしみこみにくい」など、根詰まりのサインがあれば植え替えをします。根を傷つけないよう、そっと鉢から取り出し、根鉢を崩さずに一回り大きい鉢へ植え替えをします。
植え替えをする場合は、植えつけと同じ3月下旬から4月、または9月下旬から10月に行うようにします。
ジンチョウゲは、適した環境で育てていても、突然枯れてしまうことがあります。庭植えの場合も、鉢植えの場合も、挿し木で保険株を作っておくと安心です。
剪定
ジンチョウゲは、自然に丸く樹形が整うので、特に剪定の必要はありません。
枝が混み合うようなら、蒸れによる病害虫を防ぐために、間引き剪定をすると良いです。
ジンチョウゲは、6月ごろから、次の年の花芽を付け始めるので、花芽が付き始めてから剪定をすると、次の年に花が咲かなくなってしまいます。
そのため剪定は、花が終わったらなるべく早く、4月~5月に行うようにします。
またジンチョウゲは、強剪定をすると枯れてしまう可能性があるので、強剪定は避けるようにします。
剪定をするときには、必ず消毒したハサミを使います。
切り口に癒合剤を塗っておくと安心です。
ふやし方
ジンチョウゲは、挿し木で増やすことができます。
適期は、4月~5月、または7月~8月です。
4月~5月に行う場合は前の年に伸びた枝を、7月~8月に行う場合はその年に伸びた枝を利用します。
剪定した枝を挿し木に利用することもできます。
ひとつの挿し木が10~15cm位になるように切り分け、切り口を斜めにカットします。切り口を斜めにカットすることによって、吸水面を広くすることができます。
上にある葉を2,3枚残して、他の葉は切り落とします。残した葉が大きい場合は、葉からの水分の蒸発をおさるため、葉を半分ほどの大きさに切ると良いです。
湿らせた赤玉土や挿し木用の土に挿し、土を乾燥させないように管理をします。
ジンチョウゲは成長がゆっくりなので、十分に根が伸びるまで2~3ヶ月ほどかかります。十分に根が育ったら定植をします。
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